2場所連続優勝のかかる西関脇栃ノ心(30=春日野)が、不安を吹き飛ばす白星発進を決めた。

 西前頭2枚目宝富士を得意の右四つから寄り切った。「良かったね。右でおっつけて、うまく(右下手が)入ったよ」。安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 5日前の6日に稽古で豪栄道と相撲を取り、左脚付け根外側を負傷。その日のうちに東京で日帰り治療を受けたが、7日からこの日朝までは相撲を取らず、稽古は四股、すり足など基本中心。この日の朝稽古後は「やったときより、ちょっと良くなった。ちょっと痛い。でも、痛いって言えない。気持ちで勝つしかないな」と力なく話すほど落ち込んでいた。

 師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)も「稽古で“うっ”となった時は“やっちまったな”と思った。普段痛がらないヤツだからね。今日はおっつけがうまかった。いい相撲だった」という。八角理事長(元横綱北勝海)は「今日の相撲を見たら、全然(ケガの)影響はないね」と話した。

 栃ノ心にとって、この日は先場所の初優勝で手にした賜杯の返還など不慣れな? ことが多い1日だった。「いいもんですね。でも、初めてのことだからドキドキしたよ」。故郷ジョージアのつながり、日本コカ・コーラから新規でついた懸賞「働く人を応援する ジョージア」も「せっかく(懸賞を)つけてもらったんだから、頑張らないとね」と手にして満足そう。初優勝後の場所として、文句なしの滑り出しになった。