連日の横綱、大関撃破で土俵を盛り上げている西前頭2枚目阿炎(あび、24=錣山)の相撲に、土俵下から目を光らせる審判長も頼もしそうに目を細めた。

 前日6日目は横綱白鵬(33=宮城野)から金星を奪った阿炎。この日は大関豪栄道(32=境川)を、前日の突っ張り一直線の相撲から一転、もろ手突きで立った直後、絶妙な間合いからドンピシャのタイミングで大関をはたき込んだ。幕内後半戦の審判長を務めた審判部の阿武松部長(56=元関脇益荒雄)は「面白い若手力士が、また一人、出てきましたね。大きく伸びました」と新入幕から3場所目で躍進中の阿炎をほめた。「あの突っ張りは魅力がある」と評価する一方で、敗れた豪栄道の心中を「体が小さいから踏み込むしかなかった。そこが相撲の難しいところ」と察した。

 協会トップの八角理事長(54=元横綱北勝海)は、この一番を「(阿炎は)今日も突っ張って行こうとしてヒジが伸びなかったから引くしかない。それはいつもやっていることで、体が自然と動いた」と評価。伸びる余地はまだあるとして「誰と当たっても1回転、2回転とヒジが伸びるようにならないと。その方が引きも効くだろう」と話していた。