日本相撲協会は30日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議と臨時理事会を開き、栃ノ心(30=春日野)の大関昇進を満場一致で承認した。

 日本相撲協会は東京・墨田区の春日野部屋に出羽海理事(元幕内小城ノ花)と大鳴戸審判委員(元大関出島)を使者として派遣。午前9時半ごろ、伝達式で出羽海理事は「本日の理事会において、関脇栃ノ心が全会一致で大関に推挙されましたことをご報告いたします。本日は誠におめでとうございます」と吉報を伝えた。栃ノ心はこれを受け「謹んでお受け致します。親方の教えを守り、力士の手本となるように稽古に精進します。本日は誠にありがとうございました」と口上を述べた。

 栃ノ心はジョージア出身で、欧州の大関は琴欧洲、把瑠都に続き3人目となった。

 口上は「親方」という言葉が入る珍しいものだった。栃ノ心は師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)と相談し、口上を決めたが「親方に反対されたけど、自分の気持ちで『親方』を入れたかった」と話した。17歳で来日し、日本語も話せない時に「ゼロから」(栃ノ心)導いてもらったことに対する感謝の思いを込めたようだ。

 春日野親方は、日本語が苦手な栃ノ心との口上作りを「いっぱいキーワードを入れ、そこから“これは意味がわかってないな”と削除していった」と説明。弟子が「親方」の2文字にこだわったことを「うれしいけど、私としては細かく絞らないでいいのに、と思う」と苦笑いしていた。