大相撲名古屋場所の新番付が25日、発表され、新入幕を果たした明生(22=立浪)が名古屋市の部屋で会見した。昨年11月の九州場所から十両上位を維持し、常に新入幕のチャンスがあったが、3場所連続で7~8勝止まり。だが東十両4枚目だった5月の夏場所で10勝を挙げ、名古屋場所では幕尻ながら、西前頭16枚目に名を連ねた。この日、番付を目にして「うれしい。一番上の段に名前があって『すげー』って思った」と笑顔を見せた。

 中学卒業後、11年夏場所の初土俵以降、順調に番付を上げていたが、初めて幕下に上がった13年初場所のころに腰のヘルニアを発症した。その後、三段目に番付を落としたこともあった。「思うように体が動かず、力も入らず、くじけそうになった」と当時を振り返る。

 故郷の鹿児島・奄美大島にいる父昌也さんに電話で「もうダメかもしれない」と、思わず弱音を吐くと「もう帰ってくるな、恥ずかしいから」と、厳しい言葉が返ってきた。この日、明生は「ゲキを飛ばしてくれたおかげで、やめないでよかった。普段はやさしい父に言われ、自分に甘えているなと思った。少しは親孝行できたかな」と、はにかんだ。ヘルニアの症状が治まって以降は、一段と稽古に精進し、この日を迎えた。

 師匠の立浪親方(元小結旭豊)も「コツコツ努力する力士。トレーニングもしっかりとやるし、この姿を下の子たちがまねしてくれれば。自然と部屋を引っ張っていってくれると思う」と、まじめな性格を手放しでほめた。同親方は続けて「自分の新入幕のころを思い出す。楽しみ。早く自分の番付を超えてほしい。それが目標」と、笑顔を交えて愛弟子のさらなる成長に期待した。

 明生も「新入幕で三賞が目標。何番勝ちたいとかはないけど、大勝ちできるよう1番1番全力で取る」と力を込め、師匠超えへの意欲をのぞかせた。