大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に引退届を提出後、都内で引退記者会見を開いた。

貴乃花親方は日本相撲協会の改革に強い意欲を示してきたが、この日の引退で、その戦いは志半ばで断たれた。そのことへの思いを聞かれると「引退を届け出ておりますので、それはかなわぬものだと…」と無念そうに語った。その上で「(弟子に)大きなけが、大病がないことだけを願っております」と語った。

協会改革を目指し、これまで戦ってきたことが頓挫することへの無念はないかと聞かれると「私が個人として活動してきたことは無念ではないです」と答えた。一方で「弟子たちと寄り添って指導することを続けられないことが無念。弟子と同じ釜の飯を食い、同じ屋根の下で暮らせなくなるのが無念」と繰り返した。

元横綱日馬富士関による弟子の貴ノ岩への暴行事件をはじめ、さまざまな問題の渦中にあった貴乃花親方に対し、今後の協会に望むことは? などの質問も相次いだ。

協会のガバナンスの改善点について問われると「角界の良いところは、元力士が親方になっている伝統があるところ。弟子を育てるのが何よりの親方稼業。業界の運営に携わる者であれば、公益法人になって厳正な精神的な運営も必要なのかなと思っていましたけど」と語った。その上で「第三者委員会が立ち上げられなかったのは残念。不祥事が起きないにこしたことはないが、第三者の目で担ってほしい」と、一連の貴ノ岩の暴行事件の際に第三者委員会が立ち上げられなかったことに疑問を呈した。

協会とは価値観が違ったか? と聞かれると「(北の湖)前理事長の時、本部に呼んでいただき、運営にも少し携わらせていただいた。価値観と言うより、国を代表するスポーツではない、神技である相撲を残していきたかった」と語った。

そして協会の今後へ意見を求められると「健全、力強い相撲を取ってくれる若手を多数、輩出してくださることを期待しています」と語った。【村上幸将】