元横綱日馬富士関から昨秋に暴行を受けた前頭貴ノ岩(28=千賀ノ浦)の代理人弁護士は4日、都内で会見し、同日付で東京地方裁判所に損害賠償を求め、民事訴訟を提起したと明らかにした。

説明によると、元日馬富士関の代理人との間で損害賠償について協議したが、示談は成立しなかった。そのため、東京簡易裁判所に民事調停の申立を行い、調停委員会のあっせんによる解決を目指した。第2回の調停が予定された9月26日当日になって元日馬富士関の代理人が突然欠席すると通告したため、調停委は調停を不調として終わらせたという。そのため、今回の提訴に至ったと説明した。

請求金額は2413万5256円で内訳は次のとおり。

●積極損害

入院治療費等…合計435万9302円

●逸失利益

<1>給与差額…148万1840円

<2>懸賞金の逸失…900万円

<3>巡業手当の逸失…38万円

<4>退職時の幕内養老金等の減…172万円

合計1258万1840円

●慰謝料…500万円

●弁護士費用…219万4114円

請求金額については当初、6月に概算で3000万円程度と元日馬富士関の代理人に伝えていた。一方の元日馬富士側は当初は30万円と算出し、双方の間には100倍もの金額の開きがあった。その後、元日馬富士関側は調停の際の正式な回答として50万円を提示している。

今後の裁判に貴ノ岩本人や入門当初から貴ノ岩を指導し、今月1日付で日本相撲協会を退職した元貴乃花親方が証人として出廷する可能性について、貴ノ岩の弁護士は「あり得る。そういう展開になるかもしれない」と話した。

また、元日馬富士の代理人弁護士は、提訴を受けて「訴状を見ていないのでコメントできない」とのコメントを発表した。