大関経験者で東三段目49枚目の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、土俵復帰2場所目の6番相撲に勝ち、5勝1敗とした。

4勝1敗同士で、同54枚目の朝大門(24=高砂)と対戦。立ち合いで瞬時に右が入ると、左に回り込もうとする相手を左も差して正面土俵に追い込み、腰をしっかり下ろして危なげなく寄り切った。

勝ち越しを決めた前日の5番相撲同様、この日も2秒あまりの万全の相撲。それを問いかけられると「この前の相撲があるからね」と目をキリッと見開いた。勝ったと思い力をフッと抜き相手に逆転された、8日目の4番相撲。本割で約1年ぶりの黒星を喫した、あの痛恨の一番の残像が、まだ目に焼き付いているようだ。勝負は最後まで何が起こるか分からない、最後の詰めを怠ってはいけない-。そんな戒めのような一番が、いい意味でその後の相撲を慎重にさせ、万全の形になっている。

手術もした両膝には、分厚いテープが幾重にも巻かれ、それをサポーターで保護している。そのサポーターからテープがはみ出ていることを土俵下の審判から指摘されるハプニングもあったが、乱されることなく取り切った。残りは1番。番付運によっては、この位置から6勝1敗でも来場所の幕下昇進も可能だ。同じ6勝1敗の中に、関取最後の黒星を喫し、復帰した先場所も序二段で対戦した、旧知の間柄でもある幕内経験者の天風(尾車)もいる。「(7番相撲は)天風とかな? 面倒くさいな」と話す言葉とは裏腹に、柔和な笑みを浮かべていた。