「大相撲の継承発展を考える有識者会議」の第1回会合が21日、東京・両国国技館で行われた。

特別顧問の今井敬氏(経団連名誉会長)、委員長の山内昌之氏(歴史学者)をはじめ、プロ野球ソフトバンク会長の王貞治氏、松本白鸚氏(歌舞伎俳優)、阿刀田高氏(作家)、紺野美沙子氏(女優)、大谷剛彦氏(元最高裁裁判官)、但木敬一氏(元検事総長)の計8人のメンバー全員が出席。日本相撲協会からは八角理事長(元横綱北勝海)、芝田山広報部長(元横綱大乃国)、外部理事の山口寿一氏が参加した。

外部メンバーによる有識者会議は、力士の国際化、少子化社会の中にあって、伝統や文化を継承、発展させていくことが目的で、来秋のメドに相撲協会に提言書などを提出する予定だ。元横綱大鵬らとも親交のあった王氏は「下町出身でもあるし、相撲への思いは他の人よりも強い」と、相撲愛を明かした上で「昔は通っていたことが今は通らない。現役の人は大変だけど、そういう時代に生きていることを理解した上で、自分だけの問題ではないと考えてもらいたい」と、力士に自覚を促した。一方で、昭和のスーパースターらしく「気にしすぎると相撲に力が出なくなる。皆さん(報道陣や世間の声)の言うことをあまり気にしないで、と僕は思う」と、豪快な力士のイメージが損なわれることも危惧していた。

山内委員長は提言書などを提出予定の来秋について「ちょうど東京五輪が終わるころ。多くの国民がスポーツを見る中で、相撲のあり方も振り返る機会になる」と、相撲の注目度が上がることを見越していた。今後、会合は3カ月に1度程度のペースで開催し、部屋での稽古見学や、山内委員長も名を連ねる横綱審議委員会(横審)と同様に、本場所総見のような機会や、横審稽古総見に同席するなどの計画を明かした。