関脇御嶽海(26=出羽海)が通算17場所目の三役で、2度目の10勝に到達した。平幕の妙義龍を押し出し、初優勝を飾った昨年名古屋場所以来の大台だ。大関復帰を決めた貴景勝が3敗目を喫し、優勝争いでも隠岐の海、剣翔の4人でトップに並んだ。4敗も5人と、残り2日で1差に9人の大混戦。「盛り上がるんじゃない?」と2度目の賜杯に狙いを定めた。

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支度部屋でどっかり座った御嶽海が結びの結果を付け人に尋ねた。「どっちが勝った?」。貴景勝が豪栄道に負けた。3敗でトップに並んだ。無言で2度、フンフンとうなずいた。

何より待望の10勝目だ。「ちょっとやりにくかった」と、3連敗中だった妙義龍をダイブしながら押し出した。

三役連続在位は歴代2位の16場所目になった。白鵬、鶴竜の時代にくさびを打ち込む次世代リーダーらしい安定感はある。が、10勝以上は初優勝を飾った昨年名古屋場所だけ…。新三役翌場所の17年初場所、前頭筆頭では11勝したのに、三役ではできない。

「三役で大関になるのは難しいと思ったけど、2桁勝つのにここまで苦労するとは思わなかった。どうすればいいかわからない。方法を探してます」。だからこそ、今場所はいくら優勝争いについて問われても「目標10勝」をかたくなに繰り返してきた。

充実感は大きい。「本当に目標達成できたんだ」。優勝時と今回の違いを「全然違う。前はあれよあれよだったけど、今回は違うでしょ?」と説明した。

残り2日はプラスαになる。この日の結びは「こけんじゃね?」と貴景勝の黒星を予感していた。2人が「同じ押し相撲だからね」と理由を説明。その予感が当たり、トップに並んだ。

「お客さん、そりゃあ盛り上がるでしょう」。当事者は大変か? 「いやいや、盛り上がりますよ」。苦労の後のお楽しみはこれからだ。【加藤裕一】