大相撲で年寄「楯山」を襲名した元前頭誉富士(34=伊勢ケ浜)が秋場所千秋楽の22日、東京・両国国技館で引退会見した。

今後は伊勢ケ浜部屋付きの親方として後進の指導に当たり「相撲の伝統、文化を継承して、しっかりした人間を育てたい」と、第2の人生に向けて意気込んだ。

15年九州場所の西前頭6枚目が自己最高位の誉富士は、肩などの負傷により番付を大きく降下させていた。昨年九州場所で1勝6敗と大きく負け越し、その時点で引退も頭によぎった。3場所連続の休場から東序二段14枚目で復帰した名古屋場所。「最短で上がれなければ辞める」と奮起して6勝を挙げたが、東三段目52枚目の今場所は3敗を喫したため、土俵を離れる決断に至った。「自分の考え方と体の動きが合わない。体のバランスが良くない。このまま相撲を取っていけないなと思った」。

青森県鰺ケ沢町出身の誉富士は近大を経て、08年初場所に初土俵を踏んだ。12年初場所で新十両、13年夏場所で新入幕を果たし、最高位は15年九州場所の西前頭6枚目。会見に同席した師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「真面目だよね、稽古もそう。その一言に尽きると思う」と12年弱の現役生活を終えた弟子をねぎらった。