現役関取最年長で奮闘する東十両11枚目の豊ノ島(36=時津風)が、7敗目(4勝)を喫し勝ち越しに後がなくなった。

同14枚目で元横綱朝青龍の、おいにあたる豊昇龍(20=立浪)と先場所に続く対戦。朝青龍とは横綱時代に9度対戦(2勝7敗)した。最後の対戦から約10年がたち、血筋を引くおいっ子との対戦だったが、感傷に浸ることはできない。踏み込んで右を差し、左ものぞかせたが、122キロの軽量ながら伯父譲りの強靱(きょうじん)な足腰でグイグイ寄りたてられた。土俵際で何とか右が入ったが、左は下手を結び目まで取られる苦しい体勢に。最後は寄り返しながら、左から捨て身の首投げで逆転を狙ったが、体全体で押しつぶされるような下手投げで、土俵にたたきつけられた。

立ち合いからの流れは決して悪くない。「(相手の)まわしを切って絶対に上手を…と思ったけど、うまく距離を取られた。動きの良さに翻弄(ほんろう)された」と相手をほめた。

腹を決めて臨んでいる今場所。「自分としては、あまり堅くなってない。覚悟を決めているのもあるし、力が落ちているのも事実。来場所も(十両に)残れても、今場所みたいにギリギリでやるのもちょっとね…」と「引退」の2文字と背中合わせの闘いが続く。現状は「日を追うごとに疲労感がハンパない。いろいろな所が痛いし、体の反応も日によって違うし」と好材料は少ない。ただ、それを立て直すのも自分の気の持ちようしかない。マイナスの言葉が続いた後に「まだ負け越したわけじゃない。あと4日間。自分の相撲を取りたいね」と、切り替えを自分に言い聞かせていた。