新大関の朝乃山(26=高砂)が関脇御嶽海(27)に敗れ、今場所初黒星を喫した。過去2勝4敗と苦手にしてきた相手に上手投げを食らい、連勝は9で止まった。45度目の優勝を狙う横綱白鵬が全勝をキープ。横綱出場1000回の節目を白星で飾り、優勝争いの単独トップに立った。

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今場所初めて、新大関が相手より先に土俵を割った。土俵下に落ちた朝乃山は、両手と両膝をべったりと地につけたが、顔を上げると少し吹っ切れた表情。「今日も緊張感があった。お客さんの目の前で勝てないのは悔しい」。初黒星にもかかわらず、リモート取材に応じて心境を語った。

立ち合いで左上手が取れず、右も差せなかった。御嶽海に回り込まれるも、何とかついていき右を差した。しかし同時に上手を与えると、振られて体勢を崩して土俵を割った。「右を差せず、左上手も取れない。振り返れば焦っていました。1敗したけど、明日から気楽に自分の相撲を取りたい」。昭和以降では5位タイとなる連勝記録が止まったが、引きずる様子は見せなかった。

単独トップを白鵬に譲る形となったが、直接対決を残すだけに史上9人目の新大関優勝の可能性はまだある。「(負けを)プラスに考えたい。横綱白鵬関についていく気持ちです」と前向きに話した。師匠の高砂親方(元大関朝潮)は「(1差をつけられた相手が)白鵬だから(優勝争いは)苦しいけど、めげずに朝乃山らしい相撲を最後まで取りきることが大事。ここまでは十分に大関の責任を果たしている」と評価した。

いよいよ終盤戦が始まる。朝乃山は「これまでと変わらずに体を生かして前に出る相撲を取りたい」と言葉に力を込めた。【佐々木隆史】