新大関の朝乃山(26=高砂)が平幕の輝を寄り切り、10勝目を挙げた。10日目の黒星を引きずることなく1敗を死守。結びの一番で単独トップの横綱白鵬が負けたため、照ノ富士を含めた3人が1敗で並走する展開となった。大関貴景勝は関脇御嶽海を押し出して勝ち越し、かど番を脱出した。

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新大関の意地を見せた。前日に初黒星を喫した朝乃山の目の前には、過去2勝5敗と合口の悪い輝。立ち合いでのど輪を受けると、上半身が大きくのけ反った。それでも構わず前へ。強く踏み込んでもろ差しになると、抵抗する隙を与えることなく寄り切った。連敗せずに1敗をキープ。「昨日の負けはすごく悔しかった。でも日付が変われば気持ちも切り替える。自分の相撲をと思って前に出られた」と引きずることなく10勝目を挙げた。

結びの一番での横綱の敗戦を、土俵下で見届けた。全勝力士は消え、白鵬、照ノ富士と並走することに。朝乃山は「まだ通過点。これからの4日間が大事になる」と2桁勝利にも満足しない。見据える先は「11、12、13勝。そして優勝が大関の務めだと思う」と、今場所初めて「優勝」の2文字を口にした。

前日の取組後も「ここまで来たら自分自身との闘い」と験直しはしなかったという。12日目の相手は勝ち越しに王手をかけた北勝富士。勢いのある相手だが「1日一番やるだけ」と気負いはない。史上9人目の新大関優勝へ、1歩ずつ歩を進めていく。【佐々木隆史】