逆転優勝へ、負けられない戦いが続く。新大関の朝乃山(26=高砂)が、照ノ富士に負けて2敗に後退。

14日目に照強に負けて、照ノ富士が勝つと昨年夏場所以来となる自身2度目の賜杯を逃すことになる。史上9人目の新大関優勝の道は険しくなったが、逆転優勝を信じて土俵に上がる。

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新大関の勢いを、大関経験者に見せつけることはできなかった。立ち合いで得意の右四つにはなったが勝負を決められず、馬力のある照ノ富士に左上手を許してしまった。それでも何とか土俵際で下手投げを打ったが不発。体勢を立て直されると、体を寄せられて土俵を割った。初黒星を喫した10日目は報道陣のリモート取材に応じたが、この日は協会員を通して今場所初の取材拒否。優勝争いで1歩後退してしまったショックは、さすがに隠しきれなかったようだ。

逆転優勝を信じて残り2日の土俵に上がる。ひとまず14日目は勝てば、優勝の行方は千秋楽までもつれることになる。対戦相手は照ノ富士と同部屋(伊勢ケ浜)の照強。勝ち越しに王手をかけているだけに、策士の小兵は怖い存在。さらに十両だった17年春場所以来、約3年ぶりの対戦で警戒心は高まる。

10勝目を挙げた11日目には「11、12、13勝。そして優勝するのが大関の務めだと思う」と意気込んでいた。単独トップは逃したが、優勝を諦めるのはまだ早い。気持ちを切らすことなく、史上9人目の新大関優勝を信じて突き進む。【佐々木隆史】