14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。

3敗の単独トップで迎えた千秋楽。敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込む本割の関脇御嶽海との一番を制し、13勝目を挙げた。14日目には同部屋の照強が新大関朝乃山を破る“援護射撃”も受け、15年夏場所以来の優勝が決まった。殊勲賞、敢闘賞の三賞2つも獲得した。

大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降では2人目。優勝と優勝の間で十両以下に陥落した力士はおらず、史上初の快挙となった。

◆記録ずくめの復活V 30場所ぶりの優勝は、琴錦の最長43場所ぶりのブランクに次ぐ。優勝制度ができた1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は32人目。幕尻優勝は初場所の徳勝龍以来、史上3人目。返り入幕の優勝も徳勝龍以来。優勝と優勝の間で十両以下に落ちたケースはなく、序二段まで落ちて幕内復帰を果たしての優勝は史上初。照ノ富士が初優勝した15年夏場所は関脇で、関脇以下で2度の優勝は貴花田、琴錦、御嶽海らに続いて8人目。

◆大関経験者の関脇以下での優勝 昭和以降では1976年(昭51)秋場所の魁傑(先代放駒親方)以来2人目。このとき魁傑は西前頭4枚目で14勝1敗。8日目の横綱北の湖戦が唯一の黒星だった。同年九州場所に関脇で11勝、翌年の77年初場所でも関脇で11勝を挙げ、同年春場所で8場所ぶりに大関復帰を果たした。大関陥落の翌場所に10勝を挙げられず、後に大関復帰した力士は魁傑ただ1人。