大相撲秋場所で初優勝を果たした新大関の正代(28=時津風)が13日、大関昇進後も東京場所は徒歩で場所入りする方針を示した。都内の部屋での稽古後に取材に応じ、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)での会場までの移動手段について「とりあえず変わらない。普通に歩いて行くと思います」と明言した。

地位が変わっても特権にこだわらない。大関以上は自家用車で両国国技館の地下駐車場まで乗り入れが可能。昇進直後の取材対応では「体が大きいのでゆったり座れる、そういう車だったらいいかな」と理想の自家用車を想像していた。しかし、時津風部屋と国技館は徒歩10分圏内で、車なら5分もかからない距離。今までのルーティンを崩さず、国技館まで歩きながら気持ちを整える。

昇進から約2週間が経過したが、謙虚な姿勢は変わらない。呼称は「関取」から「大関」に変わったものの「まだ呼ばれ慣れていない。だんだん慣れてくるのかな」と、違和感をぬぐえないのが本音。それでも「そう大関はごろごろ歩いていないので。あ、自分かなというぐらいには」。1カ月を切った新大関場所へ、徐々に自覚が伴ってきた。【佐藤礼征】

◆力士の場所入り 幕下以下は電車などの公共交通機関を利用。十両以上の関取はタクシーや知人が運転する車などで場所入りする。大関以上は運転手付きの車で両国国技館の駐車場まで乗り入れができる。現役では白鵬、鶴竜の両横綱、大関貴景勝が自家用車で場所入りする。

◆大関の待遇 月給は横綱の300万円に次ぐ250万円で、三役(関脇、小結)より70万円増。公演などの海外渡航はファーストクラスで、新幹線はグリーン車。化粧まわしも関脇以下では禁じられている紫色が使える。引退後は協会に残るためには年寄名跡が必要だが、元大関は現役のしこ名で3年間、年寄として協会に残ることができる。