日本相撲協会は25日、来年1月の大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、元横綱大鵬の孫、納谷改め王鵬(20=大嶽)の新十両昇進を発表した。

王鵬は西幕下筆頭だった11月場所で6勝を挙げ、新十両昇進を確実にしていた。この日、都内の部屋でオンラインによる会見を開き「場所が終わってから今日までドキドキしていた。良かったなと、落ち着いた感じです」と無事に吉報が届き、胸をなで下ろした。

18年初場所で初土俵を踏んでから、11月場所までは本名の「納谷」をしこ名にしてきた。関取になったタイミングで「王鵬」に改名。師匠の大嶽親方(元十両大竜)は「わんぱく相撲に出ていた時、彼がもし力士になったらどういうしこ名がいいだろうと考えてつけたのが王鵬。大鵬というしこ名も使えない、どこか似たしこ名をと。『大』に代わるものとして『王』をつけた」と、王鵬が小学生だった頃から温めてきたしこ名だったという。

さらに、王鵬の意味については「あまりしゃべらないというかわが道を行くというか、どっしりと落ち着いたところとか。納谷を見た時に『王鵬』と分かるものがある」と説明。隣で聞いていた王鵬は「名前はすごく格好いい。しこ名があった方が力士らしいのでうれしい。名前に見合った人間になりたいです」と話した。

入門してから3年かけてつかんだ関取の座。王鵬は「自分の中では納得していない。時間がかかったなと思う。入った時は2年で頑張ろうと思っていた」と自分の中では、あと1年早く関取に上がりたかったという。ただ、大嶽親方は「これからが勝負だと思います。私たちの時は『上がって10年』と大鵬に言われてきた。王鵬には10年どころか20年でも頑張って欲しい」と、ここからの活躍に期待した。

土俵入りの際に使用する化粧まわしの1つに、大鵬の出身の北海道弟子屈町から贈られてくる物があるという。同町にある摩周湖と屈斜路湖が描かれた化粧まわしだといい、大嶽親方は「見ただけでは分からないけど、説明を受ければ深いというか、なるほどなと思うもの」と話した。会見後に祖父の墓参りに行くといい、王鵬は「(大鵬から)頑張れよ、って言われると思います。大したことないなと見劣りしないように頑張るだけです」と言葉に力を込めた。

次の目標は「新入幕」と王鵬。同学年の琴勝峰と豊昇龍が、すでに幕内に上がっているのに対して「一緒にやってきた仲間。テレビの遅い時間帯で一緒に相撲が取りたい」と刺激を受けてきた。角界入りしてから、ようやくつかんだ1つ目の目標。「やるからには一番上を目指している」と、見据えた祖父と同じ地位に向けて突き進む。