7日目までの勢いが消えた大栄翔の相撲だった。

勝ったものの8日目の輝戦に続いて、この日も当たってから押してない。踏み込んで突き放すはずが、踏み込めていないから当たりが弱い。だから、どうしても相手を見ながらの押しになってしまう。その後の流れが悪くなるのは押し相撲の宿命だろう。逆に宝富士はうまく取った。左足を前に出して、やや半身になりながら大栄翔にとっての「的」を小さくした。腰の重さ、体の柔らかさも生かして押させない、突かせない体勢をうまく取った。大栄翔に3連勝中という合口の良さも味方したと思う。

2敗が続々と負ける中、最後のとりでとなった正代が勝って1差につけた。あれだけアゴが上がり体が反っても勝てるのは正代の強み。かど番を抜ければ気も楽になって、追う身の強さで優勝争いが面白くなる。大栄翔が再び連勝を続けるのは考えにくく優勝ラインは3敗まで可能性がある。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)