大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で6場所連続の三役在位となる小結御嶽海(28=出羽海)が2日、都内の部屋で基礎運動を中心に体を動かし、1週間後に迫った初日に向けて調整した。

稽古後、報道陣の電話取材に応じ「(目標は)2桁。(大関は)上がりたい地位。しっかり今できることをやっていきたい」と意気込んだ。

現在の課題は「スピード感」と明確に口にした。8勝止まりに終わった春場所を「自分が当たって前に出ている時に、横に動かれたりとか力比べしてしまう。高安関とか重たい相手に対して動きが悪いのかなと思いましたね」と振り返る。理想は新入幕から新三役まで駆け上がった16年ごろの相撲。「あのときをよく見返す。やっぱり反応、動きは良い。スピード=重さだと思っているので、スピードがあったからこそ相手に伝わっているものがあった」と、スピードと圧力の両立をイメージする。

春場所は3日目までの無観客開催が決まったが、史上初の無観客開催となった昨年3月の春場所では平幕で10勝を挙げるなど左右されなかった。「あまり気にしていない。無観客だからこそ頑張らないといけないのかなというのはありましたね」と、お茶の間の相撲ファンに思いをはせた。

コロナ禍で地元長野には昨年から1回しか帰っていない。「名古屋場所だったり東京場所のときも3場所に1回、多くて2回帰っていたので。3日4日はいた。コロナになって全然。親の方も帰ってこなくていいからって」。故郷の木曽町でスナックを経営する母マルガリータさんも、本場所の応援に駆け付けられていない。「もし(コロナに)かかって帰ってきたら影響しちゃう。電話では『そろそろ(国技館に)行っていい?』と聞かれますけど『いや来なくていいです』って。『お店を大事にしてください』って」と苦笑いだ。

先月28日に急性呼吸不全のため死去した境川部屋の三段目力士、響龍(ひびきりゅう)さんとは同学年で同じ出羽海一門。高校時代には対戦経験もあり、巡業などで会話を交わすこともあったという。響龍さんは春場所の取組で頭部を強打し、1カ月以上寝たきりの生活が続いていた。今回の事故が直接の死因か不明だが「本当に危険なことを僕たちはしているわけですから。気を引き締めたところでけがをするときはけがしますし。それは仕方ないですけど、けがしないように普段の準備はしっかりやらなければいけないというのは、改めて思いましたね」と話した。