西前頭4枚目の隆の勝(27=常盤山)が、自己最長の8連勝で単独首位に立った。元横綱朝青龍のおいで小結の豊昇龍を寄り倒しで下し、2敗を守った。首位を並走していた平幕の一山本は志摩ノ海に敗れて3敗目。隆の勝を1差で横綱照ノ富士、平幕の霧馬山、宇良ら5人が追う。荒れる夏場所の優勝の行方は、まだまだわからない。

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隆の勝が豊昇龍を破り、単独トップに躍り出た。おっつけから右を差して組み止めると、土俵中央で膠着(こうちゃく)状態が続いた。機を見て右から下手投げを打つと、相手の外掛けにも構わず体を預け、なぎ倒すように寄り倒した。過去1勝3敗の難敵に対し「投げが得意な相手だったので、自由に動かさないようにした」と対策は万全。会心の勝利に「もっと、もっと勝ち星を伸ばす」と声を弾ませた。

先場所は4勝11敗と負け越し、「気持ち的に落ち込みました」。同じ94年度生まれの阿炎、先場所覇者の若隆景の両関脇に水をあけられ、悔しさが募った。「元の場所に戻りたい」と三役復帰を目指し、奮起して臨んだ今場所。3日目まで1勝2敗と出遅れたが、そこから1横綱2大関撃破を含む自己最長の8連勝。10日目には昨年の九州場所以来の勝ち越しを決めた。勢いに乗り、「もっと上を目指していかなきゃいけない」と意気込む。

ただ一人2敗で優勝争いを引っ張る展開になった。「そこは意識せず。まだ4日もあるので全然分からない。自分の相撲に集中するだけです」と無欲を強調した。【平山連】