西前頭4枚目の隆の勝(27=常盤山)が平幕の霧馬山を突き落としで退け3敗を死守し、初の賜杯へ王手をかけた。横綱照ノ富士とともにトップで千秋楽を迎える。

大混戦の優勝争いは1差で4敗の小結大栄翔と35歳の平幕佐田の海が追う。千秋楽で照ノ富士と隆の勝がともに勝てば両者の優勝決定戦。2人がともに敗れ、大栄翔と佐田の海の結果次第では4人によるトーナメント戦や、ともえ戦(3人での優勝決定戦)となる可能性も出てきた。

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失意の敗戦から一夜明け、隆の勝は吹っ切れていた。幕内では過去7戦全勝と合口の良い霧馬山に、鋭い出足から先手を取った。本来の形ではない左四つに組まれたが、相手の強引な左からの外掛けを利用して突き落とした。自分の相撲に集中できていたと振り返り「とっさに体が動いてくれた。勝てて良かった」とほっとした表情をみせた。

単独トップで迎えた前日13日目は関脇若隆景に敗れ、3敗に後退。初優勝への重圧からか「場所に来てからめちゃくちゃ緊張した」と出足の鋭さは影を潜めた。帰り道には取組を見返し「駄目だったところを修正した」と引きずらなかった。周囲からは「自分の相撲を取れば良い」「楽しんでやってきな」と背中を押され、迷いは消えていた。

14日目を終えて横綱照ノ富士とともにトップをキープ。本人の口からも「ここまできたら(優勝を)取りにいくつもりです」と力強い言葉が出た。優勝決定戦を見据えて2番取る可能性について問われると「そうですね。そのつもりでいきます」。気持ちを引き締めて、初優勝をかけて千秋楽に臨む。【平山連】

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