西前頭2枚目逸ノ城(29=湊)が、初優勝を飾った。本割で西前頭3枚目宇良(30=木瀬)を下し3敗を守った。星が並んでいた横綱照ノ富士が大関貴景勝に敗れたため4敗に後退し、逸ノ城の優勝が決まった。

先場所は新型コロナウイルスの影響で全休。迎えた今場所は初日から好調を維持し、6連勝するなど、一時は単独トップに立っていた。だが、7日目には大関正代、8日目には平幕の琴ノ若に連敗。その後は再び連勝街道に乗って盛り返したが、前日の14日目には明生に寄り切られて完敗。同じ星で並んでいた横綱照ノ富士にも土が付いたため首位陥落は回避。迎えた千秋楽では落ち着きを取り戻し、初優勝を手にした。

1972年名古屋場所で米ハワイ出身の高見山が外国出身力士として初の幕内優勝を果たしてから50年を迎えた節目の場所で、新たに15人目の外国出身の優勝力士が誕生。モンゴル勢としては最多を更新する8人目となった。

逸ノ城は殊勲賞も受賞。敢闘賞は新入幕で2桁10勝を挙げた錦富士が受賞した。

 

◆幕内で優勝した外国出身力士たち(今年5月の夏場所終了時点)

▽モンゴル 朝青龍(25回)、白鵬(45回)、日馬富士(9回)、旭天鵬(1回)、鶴竜(6回)、照ノ富士(7回)、玉鷲(1回)

▽米国 高見山(1回)、小錦(3回)、曙(11回)

武蔵丸(12回)

▽ブルガリア 琴欧洲(1回)

▽エストニア 把瑠都(1回)、

▽ジョージア 栃ノ心(1回)

 

▽逸ノ城駿(いちのじょう・たかし)

◆本名 三浦駿(21年9月に日本国籍取得前はアルタンホヤグ・イチンノロブ)

◆生まれ 1993年4月7日、モンゴル・アルハンガイ県。ゲルと呼ばれる移動式住居で生活する遊牧民で13歳からモンゴル相撲。

◆来日 10年に横綱照ノ富士らとともに来日して鳥取城北高に相撲留学。卒業後は鳥取県体育協会に勤務しながら同校相撲部でコーチを務め、13年全日本実業団選手権を制覇。湊部屋に入門し14年初場所、幕下15枚目格付け出しで初土俵。

◆スピード出世 所要2場所で十両昇進、同4場所での新入幕は歴代2位タイのスピード。新入幕場所で13勝し翌場所関脇に。所要5場所での新三役は歴代1位のスピード記録。

◆好きな食べ物 ケーキ、からあげ。

◆好きなアーティスト 長渕剛。

◆サイズ 192センチ、211キロ。得意は右四つ、寄り。

◆家族 両親と妹、弟。

◆愛称 イチコ。