あきらめなかったからこそつかんだ再十両に思いがあふれた。

大相撲春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)で2場所ぶりに十両復帰を果たす徳勝龍(36=木瀬)が14日、都内の部屋で稽古した。稽古場で慣れ親しんだ白まわしをつけて、若い衆に胸を出すなどして調整を行った。

1カ月後に迫る場所に向けて「ご当地場所なので大阪は特別。十両で昭和生まれの力士も少なくなっていますけど、まだまだできるんだぞと若々しい相撲を取っていきたい」と誓った。

3年前の初場所で幕内最高優勝(14勝1敗)を飾った実力者は、先場所で12年春場所以来となる11年ぶりに幕下転落。関取衆の象徴ともいえる稽古場での白まわしから、幕下以下が稽古場でつける黒まわしになった。当初は「悔しさもあった」と落ち込むこともあったが、師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)からもらった「堂々としておけ」という言葉で救われた。徳勝龍は「まわしの色は関係ない。最後まで一生懸命にやろうと思いました」と振り返る。

「やると決めたからには中途半端な気持ちでやりたくなかった。どの地位でもやることは同じ」と気持ちを引き締め、迎えた初場所は序盤3連勝で幸先よくスタート。11日目の六番相撲で玉正鳳(片男波)に勝って4勝目を挙げ、勝ち越しを決めた。最終的に4勝3敗で終え、春場所で十両へ返り咲くことが決まった。

「どの地位でも勝ち越しはうれしいですね」と声を弾ませながら、11年ぶりに幕下に落ちた場所を通じて「いつか辞めた時ですかね。あそこで続けていて良かった。そう思える場所になったと思います」と万感の思いを込めた。

気持ちを新たに向かう春場所。「千秋楽まで一番、一番取り切りたいです。硬くならず、ワクワクしながら楽しんでいこうと思います」と話していた。【平山連】