初日から10連勝だった平幕の翠富士(26=伊勢ケ浜)に代わり、小結大栄翔(29=追手風)がついに優勝争いで単独トップの座に就いた。

この日も冷静だった。明生(27=立浪)を相手に、回転のいい突き押しを繰り出した。勝機を焦らず相手を正面に置きながらよく見て追い詰め、明生が引いたところを逃さず突き出した。

連日、大栄翔の落ち着きぶりを評価していた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、この日も報道陣のリモート取材に応じ「落ち着いているし、相手をよく見ているから圧力がかかっている。いなしも効果的で、よけいに押しやすくなった」と解説した。さらに「明生もいい立ち合いだったが、それを受けて突っ張れた」と、精神面での充実ぶりも感じ取った様子だった。

14日目は3敗の翠富士と対戦。大栄翔が勝ち、やはり3敗の関脇霧馬山(26=陸奥)と小結若元春(29=荒汐)がともに敗れれば、千秋楽を残して2差がつき、大栄翔の21年初場所以来となる2度目の優勝が決まる。数字的に、その可能性があることを問われると、八角理事長は「そうは、うまくいかないでしょう」と千秋楽まで持ち越されることを予想。それでも「優勝経験が生きているような気がします」と、優勝を争う他の力士との違いから優位性も語っていた。