自信の表れでしょう。初日から落ち着き払って強く見えるのが琴ノ若です。何がそう感じさせるのかというと、今までにないぐらい抜群にいい腰の位置です。足の長さや体の柔らかさを生かすような、攻めも守りも出来る腰の位置や角度がいいんです。この日も翠富士に右を差されようが怖がらずに、餅のような柔らかい体を生かして左で一度きめて翠富士を嫌がらせながら、前へ前へと出ました。腕をきめられて苦しい翠富士が、その右を抜こうとするから余計にスーッと出られます。うまく右も使っておっつけているから攻めも守りも盤石。それもこれも腰の位置がいいからです。決まり手は肩すかしでしたが、あれで決めようと思ったわけではなく、決まらなくてもその後の攻めは自由自在に出来たでしょう。

腰が高いと言われたこともありましたが、あの身長と足の長さですから、高く見えるだけです。琴ノ若に合った腰の高さで問題はないのが、それがさらに今場所は低くなったように見えます。この3日間はパーフェクトでしょう。ただ勝つのではなく「どうだっ!」という大関に上がる人が見せる強さを感じます。後半は心身ともにキツいけど、自信を持って今の腰の位置を忘れず、気持ちを緩めず攻める姿勢を貫いてほしいと思います。(日刊スポーツ評論家)