惜しまれつつ相撲界を去ったモンゴルの「怪物」が、けじめの日を迎えた。

慢性的な腰の故障を理由に昨年5月に電撃引退した大相撲元関脇逸ノ城の三浦駿さん（30）の断髪式が11日、都内のホテルで始まった。約9年の土俵人生を終えた三浦さんの節目を目に焼き付けようと、関係者やファンが駆けつけた。

デビュー当時の快進撃は圧巻だった。初土俵から所要2場所で新十両に昇進し、14年夏場所でいきなり十両優勝。わずか2場所で十両を通過し、同年秋場所で新入幕を果たした。この場所で横綱鶴竜を破り金星を獲得するなど、13勝2敗の優勝次点。ざんばら髪の新星の登場に沸き立ち、ほどなくしてテレビのCMにも起用されるなど一躍人気力士の一員になった。220キロ前後の大きな体で得意の右四つから攻め立てる姿は、まさに怪物の名にふさわしかった。

輝かしい出世街道をたどるかに見えたが、その後はケガに泣かされた。22年名古屋場所で念願の幕内優勝を果たすも、賜杯を抱いたのはその1回だけにとどまった。現役時代の晩年は師匠の湊親方（元前頭湊富士）と関係がこじれ、この日も同親方らは姿を見せていない。通常は師匠が行う止めバサミだが、今回は一体誰が行うのかにも注目が集まる。

◆三浦駿（みうら・たかし）。元逸ノ城。1993年4月7日、モンゴル・アルハンガイ県生まれ。10年に鳥取城北高へ相撲留学。13年に幕下15枚目格付け出し資格を得て湊部屋に入門。14年初場所で初土俵、同年秋場所で新入幕。同年九州場所で新関脇。21年9月に日本国籍を取得。優勝1回。殊勲賞3回、敢闘賞1回。金星9個。