大相撲の大関経験者で東前頭9枚目の御嶽海(31=出羽海)が12日午後、都内のホテルで結婚披露宴を挙げた。披露宴には出羽海一門などの親方衆、関取衆、日本相撲協会の関係者ら約500人が出席し、二人の門出を祝った。

新婦との結婚は、大関昇進が決まった22年1月に師匠の出羽海親方(元前頭小城ノ花)が明かしていた(新婦の名前、結婚の時期などは非公表)。1学年年上の一般女性で、この日の挙式前に取材に応じた御嶽海は結婚生活について「家に帰って、負けても勝っても『お疲れさま』。他のことは言わないし落ち着く。おいしい料理は力になっています」と話した。

コロナ禍の影響で、結婚から2年以上が経っての披露宴となった。晴れの日に「準備が大変だったけど、ドキドキしながら(この日まで)過ごしていました。ようやくやれてうれしい。勝ち越してこの日を迎えたかったな、と正直、思いますが」。6勝9敗に終わった初場所を少しばかり悔やみつつ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

この日は正午から開かれた、同じ出羽海一門の豊昇龍(24=立浪)の大関昇進披露パーティーにも出席。それと重ね合わせ「(自身の結婚)披露宴もやりたかったし、今日の大関(豊昇龍)を見て(自身の)大関披露パーティーもやりたかったと、ダブルで強く思った」と語った。自身の大関昇進パーティーも、コロナ禍の影響で開けぬまま、その座から陥落してしまった。

ただ、気力がなえたわけではない。気持ちの中では、この日の「結婚披露宴」を、実現しなかった「大関昇進披露」と兼ねて臨んでいるようだが「本当にまだ(大関復帰を)あきらめていないので、もう1回、上がって(大関昇進パーティーを)出来るように頑張りたい」と引き締めた。この日を復帰への節目の1日にするためにも「最近は元気がなくなったけど、もう1回、元気を取り戻して上の兄弟子たちもいっぱい居るので負けないように、元気いっぱいのお相撲さんになりたい。これを機に、もう1回、体と気持ちを作り直して3月場所に臨みたい」と心機一転を誓った。

昨年7月に父春男さんが74歳で死去。母マルガリータさんと一緒に、たびたび本場所や地方巡業を観戦に訪れていた。その父に触れて御嶽海は「おやじには式に参加して見てほしかったな、という思いはありますけど、天国でニヤニヤしながら見てるんじゃないかな」と話した。理想の家族像は「お母さんは陽気。(一方で)静かに見守っているおやじ、というのが頭に浮かんでくる。そういう家庭にあこがれています」。マルガリータさんも、この日を楽しみにしていたようで「昨日も自分の服装を気にしていて、自分が主役の気持ちで。お父さんの写真も持っていて『かっこいい姿を見せてね』と言われました」と、ほほ笑ましいやりとりを披露した。「心から喜んでいます。自分が結婚できると思っていなかったのでね」。わずか4場所の在位に終わった大関の座を再び目指して、幕内優勝3回の実力者がこの日を節目に、復活への道を歩む。