大相撲で西前頭4枚目の平戸海(24=境川)が、初めて横綱照ノ富士と三番稽古を行った。27日、埼玉・所沢市で行われた春巡業に参加。関取衆の申し合いで7番取り、5勝2敗と上々の内容、結果を収めた後、照ノ富士が土俵に入り、三番稽古の相手に指名された。

最初の一番は鋭い踏み込みから土俵際まで一気に寄り立てたが、横綱に重い腰で残られ、土俵中央まで戻されると、最後はすくい投げで転がされた。それでも、もろ差しから一気に寄り切る相撲も見せるなどして2勝5敗。関取衆の申し合いと合わせると、計14番で7勝7敗だった。

三番稽古の直後には、ぶつかり稽古に移行し、約3分間、照ノ富士に胸を借りた。さらに稽古後には、土俵下で「脇を締める力が弱い」と、相手に差させない力と技術を身に着けるようアドバイスも受けた。「ありがたいですね。1番、1番がすごく重くて、体力を奪われた。稽古がすごい長く感じた」と、充実した稽古を振り返った。

先場所は自己最高位で9勝6敗と勝ち越し、夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)では、上位総当たりの番付へと、自己最高位を更新することが確実。これまでは結びの3番前で取ったのが、最も遅い時間のが取組だっただけに「結びの一番で取りたい」と、目を輝かせた。

照ノ富士が夏場所に出場すれば、初の結びの一番が横綱戦となる。「楽しみ。思い切って当たっていくだけ。止まったら負けるので、止まらないことと、先に、先に攻めることを心がけたい」と、この日の稽古で横綱の腰の重さを体感できただけに、横綱初挑戦を思い描いていた。照ノ富士とは、相手が大関から序二段まで陥落後、再起する途中の幕下時代に1度対戦したが敗れている。この日の経験を生かし、恩返しの金星を挙げるために、さらに稽古に精進することを誓っていた。【高田文太】