勢い余って怒られた!? 西前頭11枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が勝ち越しを決め、トップと1差に迫った。

前頭の一山本を突き落としで破り2敗をキープ。無敗だった前頭金峰山が初黒星を喫し、差を詰めた。取組前には、まいた塩が勢いよく土俵下に座る高田川審判部長(元関脇安芸乃島)に命中。取組後に呼び出され、注意を受ける事態となった。それも前夜からの11時間睡眠で、元気が有り余っている証拠。状態の良さで2度目の優勝を目指す。

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一瞬で勝負を決めた。尊富士が立ち合いで当たるや否や、体を右に開き、わずか1秒3で突き落とし。NHKテレビ中継恒例の、勝ち越し力士へのインタビューに「しっかり体が動いている。昨日(9日目)は負けたけど、睡眠も取れているのでよかった」と、息を切らしながら答えた。普段なら支度部屋に引き揚げるが、審判控え室に呼び出されていた。幕内前半戦の審判長を務め終える高田川審判部長を締め込み姿のままで待ち、しかられた。取組は早かったが、その後が長かった。

立ち合いが合わずに呼び出される力士は多いが、立ち合いには問題がなかった。呼び出された理由を問われると「塩。土俵では分からなかったけど、塩がかかったみたいで…」と説明した。9日目に無敗の金峰山に敗れ、連敗はできない思いは強かった。優勝争いでアドレナリンが出て、飛距離が出るゴルファーと同じような原理か-。無意識に塩の飛距離も出たようだ。

コンディションの良さも塩の飛距離を伸ばした。前日の黒星も「引きずることはなかった」と、たっぷり9時間余り熟睡した。朝稽古後はさらに昼寝。合計11時間ほど寝た。疲労が蓄積する終盤戦を前に、元気が有り余っている様子だ。塩をかけてしまったことは、好調の証しだった。

怒られた最大の理由は、審判長に近い観客にまで塩がかかってしまったこと。11日目は割を崩して関脇大栄翔戦が決まった。上位戦は「楽しみじゃないッス。見ている方は楽しみかもしれないけど」と笑った。ファンに楽しんでもらうため、塩まきを含めた所作も取組も全力。「三役に上がりたいと思ってやっている。自分の持ち味の相撲で勝ちたい」。昨年春場所に続く、2度目の賜杯が現実味を帯びてきた。【高田文太】

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