新会場IGアリーナ初の金星は、西前頭筆頭の若元春(31=荒汐)が挙げた。十両時代を含め、取組前まで3勝16敗と苦手としていた、横綱豊昇龍を寄り切った。昨年初場所で照ノ富士(現伊勢ケ浜親方)を破って以来、通算2個目の金星。1勝1敗と五分に戻した。国技館が蔵前から現在の両国に移った85年初場所以来、40年ぶりに本場所会場が移った節目で、3兄弟の次男が歴史に名を刻んだ。

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新会場で2日間を通じて最大級に、観衆の視線をくぎ付けにしたのは若元春だった。立ち合いで豊昇龍に左で張られたが「横から攻めようと思っていた」と、前夜から考えていた若元春には好都合。張り手の威力を軽減しようと、瞬時に左に動くと「左がスパッと入った」。得意の左四つに組み止め、主導権を握った。相手が左四つを嫌い、巻き替えにきたところで、隙を逃さず一気に寄り切った。

「相手に右を差させないように考えていた。巻き替えにきたところで体が浮くので出ていった」。相手の動きが冷静に見えていた。「金星を取ること自体が番付を落としている証拠。誇れることじゃない。ただ横綱に勝てることはめったにない。この経験を生かして頑張りたい」と力説した。

2年前の名古屋場所。自身と豊昇龍、大栄翔の3人が「トリプル大関とり」に臨んだ。そこで優勝し、大関に昇進したのが豊昇龍は横綱まで上り詰めた。この日、若元春は当時を「実力が足りなかった。今は経験を積んだ」と振り返った。経験を積んだ分、相手に研究され、年齢を重ねた分、体力も落ちたと自認。ただ培った引き出しの多さで、横綱を引きずり降ろした。

最近は土俵外でも「人生の経験」という初体験をした。NHK大河ドラマ「べらぼう」に出演。「和気あいあいとしていて、やりやすかった」という。主演の横浜流星らに「頑張ってください」と応援され、活力になった。もちろん日々、関取を目指す兄、大関を目指す弟に背中を押されてきた。自らは口にしなかったがファンは知っている。若元春は2年前よりも確実に強くなった。【高田文太】

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