大相撲の人気力士、西前頭10枚目熱海富士(22=伊勢ケ浜)が3日、夏巡業初日が行われた大阪・関西万博の会場内を“探検”した。巡業の朝稽古後、土俵入りまでの時間を利用し「せっかくなので、いろいろ回ってみたいっす」という希望を受けて、報道陣数人と急きょ、会場内のパビリオンを回ることになった。
巡業会場にほど近い、真っ赤な球体状の建物が特徴の「シンガポール館」に、まず目がとまった。「シンガポールか…」。興味津々で近づくと、長蛇の列ができていた。「これは大変ですね。帰りに時間があったら寄りましょう」。まずはスルーして、向かったのは、同じく巡業会場から近い「コモンズ・D館」。主にアフリカやアジアの国々が出展したブースに興味津々の様子で、アクセサリーのような小物を手に取って、担当者に質問する場面も。他にも、スカーフの材質が気になったようで、右手でつまんで「ツルツル」という感触を確かめていた。
万博には今回の開幕前、公式映像に、他の伊勢ケ浜部屋の力士らとともに登場しており、いわば「関西万博の顔」。ただ、各種パビリオンを実際に目の当たりにするのは初めてで「楽しいっすね!」と、終始うれしそうだった。「コモンズ・D館」内では「これは太鼓ですかね? イスですかね?」という、たしかに、どちらともいえない形状のものが登場すると、とりあえず両手でたたいてみたが、結局「どっちか分からないですね」。
大柄な体に笑顔の「お相撲さんらしいお相撲さん」とあって、歩くたびに人だかりができたが、丁寧に握手や記念撮影に応じ、子どもを見かけると、率先して頭をなでたり、タッチを交わしたり。人気者の理由は明白だ。
大きく口を開けたライオンの置物が向き合い、門のようになっている場所を見つけると、間に立って、はいポーズ。一般客も含めて、大撮影会と化していた。
続いて向かったのは、関西万博でも屈指の人気を誇る「イタリア館」だ。通常、入館に2~3時間を要するが、先に報道陣の1人が交渉すると「OK」。報道目的で取材用や関係者用のパスがあったこと、滞在できる時間が最長でも5分程度だったため、許可が降りた格好となった。熱海富士も「自分1人だったら、絶対にこの短時間で入れないです。あんな、うまく交渉できないです。皆さんも初めて入るんですよね? もちろん僕も初めて。これこそ『ウイン-ウイン』ですね!」と、うれしそうだった。
最終的にはイタリア人担当者の「OK」があって入館できたが、その担当者が「祖母が相撲ファンなんです」という縁もあり、特別に早く入館許可が降りた。館内では日本初公開の像「ファルネーゼ・アトラス」と対面。スタジオ・ジブリの映画「紅の豚」に出てくる飛行機もあり「ジブリ好きなんです!」と、興奮気味に話していた。
ただ、唯一の心残りが…。「ジェラート、おいしそうだな…」。そう、熱海富士はジェラートが大好きだった。ただ、これも長蛇の列ができており、さすがに順番を飛び越して購入することができず、土俵入りの時間も迫っていたため、タイムオーバー。横目でジェラートの売店の見て、通り過ぎてからも振り返って見て…。未練たらたらは明白だったが「万博、楽しかったっす! 暑かったけど、自分、散歩が好きなので大丈夫っす!!」と、いつもの笑顔を取り戻し、熱海富士の“万博珍道中”は幕を閉じた。【高田文太】

