世界的なアクションスターであられた千葉真一さんが、新型コロナウイルス感染症のために亡くなった。82歳、私より8歳上で、日体大体操部の縁で親しくさせていただいた。

私が日本テレビの「波瀾万丈」に出演したおり、司会者は千葉さんの離婚された野際陽子さんだった。「千葉真一は、中退なんです」と、卒業生の私に悲しく話された。腰を負傷して体操ができなくなったために中退したと聞いたが、どうも中退が心残りであった印象を受けたし、私の脳裏に焼きついた。

やがて、私は日体大に戻って理事長に就任した。すると、明大が中退したビートたけし(北野武氏)の社会的貢献をたたえて、卒業させるというニュース。早速、明大の規約を取り寄せる。「原則として、3年以上在籍し、100単位以上の単位を取得しながら、やむにやまれず中退した者で、社会的な貢献が顕著な者に対し、特別卒業認定証を出すことができる」というような内容だった。日体大にも、ビートたけし級の人材がいるではないかとなり、日体大も明大のような規約を作った。

第1号が、「千葉真一」。当時の谷釜了正学長が、卒業式(2013年3月)の最後に証書を手交した。テレビのワイドショーでも放送され、ご記憶の読者も多いのではないか。

めでたく卒業生の一員となられた千葉さんは、積極的に大学の行事に協力してくださった。時間があれば地方の同窓会にまで足を運んでくれたばかりか、昭和36年卒業生の同窓会「36会」にまで毎年出席するほど愛校心の強い先輩であられた。

1カ月ほど前、北海道で映画を撮る計画をたてたと電話をいただいた。日体大が網走市に付属の支援学校を設置しているので、映画の中に組み入れたいと元気に語られた。芸能生活60周年記念の席上、日体大生に交じって、伝統のエッサッサを裸で演じた千葉さん、筋肉質の美しい肉体をされていたので驚いた。なのに、悲しいことに突然、訃報に接した。ご冥福を祈りたい。合掌。