HKT48チームHキャプテン穴井千尋(20)が11日、地元福岡サンパレス&ホールでの全国ツアー初日で、グループを卒業した。

 2011年11月26日のHKT48発足以来、5年間もキャプテンとしてグループと仲間を引っ張ってきた。仲間のお手本となる真摯(しんし)な行動と、小さなドジを連発する姿で、メンバーやファンから「ポンコツキャップ」と愛された。

 家族も見守るラストコンサートでは、同じ1期生の松岡菜摘、本村碧唯と「心の端のソファー」を、親友の兒玉遥とは「君と僕の関係」を、ソロでは「私は私」という楽曲を歌った。いつもは、集団の2、3列目の端っこで、メンバーを支える役回りだったが、この夜は、何度か憧れだったセンターの位置で歌った。

 アンコールの幕が開くと、さすがに涙を流しながら「すっごく寂しいですけど、すっごく幸せです。5年間、つらいことも楽しいこともあったけど、すべてが宝物だったと思います。みんな努力の仕方も花が咲くタイミングも人それぞれ違うけど、地道に頑張っていれば、必ずどこかで自分のことを見てくれてる人が必ずいるということを知りました。私のことを見つけてくれて、本当にありがとうございます」とあいさつ。1689日前の記念すべき劇場デビュー公演のオープニングで歌った「手をつなぎながら」を、同期生たちと披露した。最後は、指原莉乃ら仲間たちからサプライズでグループの送別曲「今、君を想う」を送られ、幸せの涙を流し尽くした。

 キャプテンを任されると、自分の人気を獲得するよりも、メンバーやグループ、チームのことを優先にしなければならず、アイドルとしては損な役回りになることが多い。デビュー時から、そんな役職を任された穴井だったが、それでも最後は「キャプテンになって、すっごく幸せだったし、私はHKT48が、ファンの皆さんが成長させてくれたんだと思います」と感謝した。

 「『行ってきます』と言うので、いってらっしゃいと言ってもらってもいいですか?」とお願いすると、観客からは「行ってらっしゃーい!」と返された。「元気に行ってきます! ありがとうございました!」。そう言い切って、芸能界を引退した。

 今後は、ファッション関係の仕事の夢に向かい、海外に語学留学し、1年半後の大学卒業を目指す。