南米コロンビアの麻薬カルテルが支配する街。カルテルの砲撃で不時着したセスナ機からグリンガ(よそ者の白人女性)が現れる。彼女は並外れた戦闘スキルで独りカルテルの支配下にある警察と闘い始める。
異色のバイオレンスアクション「ドミニク 孤高の反逆者」(11月21日公開)で、このターミネーターのような闘士を演じるのが、オクサナ・オルラン(41)だ。劇中の設定同様にウクライナ系で、180センチの身長を生かしてモデルとして活動。マーシャルアーツの訓練も受けているという。
前作「コカイン・ブライド」(18年)もすさまじい内容だった。暴力夫から逃れて米国に来た子連れのロシア女性が、再婚相手から再び理不尽な仕打ちを受け、最後は夫のコカインを大量吸引して覚醒、血まみれの大奮戦の末に関係者全員をぶちのめすという脱法ストーリーだった。
どうやら「女ランボー」がこの人の持ち味らしい。無駄なく筋肉のついた体脂肪率の低そうな体に加え、目力が強い。めったに表情を変えない。それが劇画チックなキャラクターに不思議な説得力を生む。ラブシーンも当たり前のように全開で演じているが、そこでも笑ってしまうほどマッスルな個性を発揮している。
最大の見せ場は、まさに野武士集団を迎え撃つ「七人の侍」の図式だ。癒着構造を告発しようとした警察官一家(南米的な大家族)の自宅を署長以下重武装した警察の大部隊が取り囲む。一家に一宿一飯の恩義があるドミニク(オルラン)は彼らを即席教練し、戦闘スキルを生かした仕掛けをそこここに施して待ち構える。
容赦ない殺りく描写に目を覆いたくなるが、麻薬戦争のリアルな実態はこんなものではない、とマイケル・S・オヘダ監督は言いたいのだろう。
ドミニクの背景はチラ見せ程度で、終始「謎めいたグリンガ」だが、一家との交流で人間味を取り戻していく過程がさりげなく織り込まれる。リベンジムービーが専門のようなオヘダ監督だが、ヒーロー作品の筋道としてここをしっかり外さない。
かつてジェイミー・リー・カーチスが「絶叫クイーン」と呼ばれたように、オルランには「リベンジ・クイーン」を冠したい。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




