日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」の取材はベテラン男性記者2人が担当しています。野球をはじめ、それぞれサッカーや芸能など、30年以上にわたり取材してきただけに、ダンスの専門用語はおぼつかなくても、勝負の悲喜こもごもや人間ドラマに迫れば、業界屈指の腕利き? です。それぞれ、出会ったプロダンサーの素顔を、「Dリーガーのオドリバ」を通じて、感じたままに紹介します。随時掲載です!!

【オドリバの取材現場】どんなスポーツでも連勝中の選手には話が聞きやすいし、連敗中は聞き手の方も気が重い。1戦ごとに勝敗を決するDリーグも同じだ。「ニッカンプレミアム」の連載用にSEGA SAMMY LUXのディレクター兼ダンサーのCanDoo(42)のインタビュー取材は開幕から2連敗後の3戦目の本番前。この日はかなり珍しく対戦を欠場するため、時間がとれますとのことだった。連敗脱出後が理想だったが、シーズン中は多忙な彼らの取材機会を逃すのはもったいない。できるだけ、話が弾むよう事前に資料を読み込むうちに、ダンス名の「CanDoo」は本名の「近藤」が「コンドウ」→「コンドゥ」→「カンドゥ」→「キャンドゥ」と愛称が変化していった末に、定着したという。「100均ショップ」ではなく、近藤さんか…。「近藤トーク」を突破口にするには、いきなり、「近藤さん、こんにちは」と出迎えるか、昔、片岡鶴太郎が近藤正臣をマネした「コンド~ウです」とぶちかませば受けるのか? みなさんは、ばかばかしいと思われるだろうが、とにかく、インタビュー取材の前は緊張する。失敗すれば、記事が書けないし、相手に失礼があったらどうしようと、恐怖に襲われる。30年経っても、これだけは変わらない。

さて、Dリーグ会場の一角に設けられた取材現場に私服姿のCanDooが現れた。昨季までの常勝軍団の思わぬ連敗スタートに、チームの雰囲気を問うと、淡々と答えてくれた。「やっぱり何かが足りなかった。でも、ダンスに正解はないんです。(中略)自分たちのしたい部分がもう1つ、2つ、3つ、4つとかみ合えば、絶対勝てると思う」。今後の戦術の絡みもあるので、詳しくは踏み込まなかったが、勝つために足りなかった点を求めるのは他のスポーツと変わらない。

欠場するのは2度目で、理由はケガなどではなく「演目の都合」だとした。そして、自分が出場しないステージこそ、今後は大事になってくると明かした。「自分がいなくても勝てるチームにしたい」とディレクターとして若手の成長を望む親心が感じられた。その日のROUND.3は僅差で敗れた。メンバーのKANAUは「絶対に勝ちたかった」とCanDoo抜きの一戦の意味を、十分に理解していた。負けたとは言え、この挑戦が転機となり、4戦目で初勝利。CanDooも再びステージで躍動した。

インタビューを一通り終えると、CanDooは付け加えるように、あらためて話し始めた。「俺もいろんな人に支えてもらっているので、もっともっと成長して、自分という存在を表現できるように、みんなに貢献できるように、頑張っていきたいっす」。若手の成長を望み、彼らの能力の高さをたたえるのも本音だろう。ただし、20代が主体のDリーガーの中で圧倒的な存在感を放つ42歳は「自分ももっと成長したい」とレベルアップを求める姿勢を示した。

もっともっと踊り続けたい。

そんな意欲こそ、彼の語りたかったことだった。誠実な取材対応に甘えて、きれいな予定調和で終わりそうになったインタビューは、最後のもう一言で本音にたどりついた。

なにか聞き忘れたことは…。あっ、「近藤トーク」を忘れていた。もっとも、本音を聞けた今となっては「また、今度~」と終わることにしよう。【特別編集委員・久我悟】

インタビュー「42歳、揺れるドレッド、揺るがぬCanDoo」はDリーガーのオドリバプレミアムへ>>

CanDooがセンターに立つと、華やかな雰囲気に!©D.LEAGUE 23-24
CanDooがセンターに立つと、華やかな雰囲気に!©D.LEAGUE 23-24
©D.LEAGUE 23-24
©D.LEAGUE 23-24
ROUND.4で初白星を上げたSEGA SAMMY LUXの巻き返しが始まる
ROUND.4で初白星を上げたSEGA SAMMY LUXの巻き返しが始まる