NHKの朝ドラ「あんぱん」が終わりました。「アンパンマン」の生みの親のやなせたかしさんと妻暢(のぶ)さんの半世紀を超える二人三脚の歩みを描いたドラマでした。
実は、やなせさんに1度だけ取材したことがあります。場所は千葉・船橋市にあるアンデルセン公園。アンパンマンを主人公にしたテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が1988年から日本テレビで放送され、「アンパンマン」は多くの子供たちに愛されました。同じく子供たちに愛された童話作家アンデルセンの名前を冠した「アンデルセン公園」にアンパンマンの銅像が建立されることになり、90年に行われた記念イベントを取材したのです。
主題歌「アンパンマンのマーチ」を歌う双子ディオのドリーミングも登場し、イベントには親子連れがたくさん訪れました。でも、取材に来たマスコミはごくわずかでした。イベント終了後の取材は私を含めて数人という寂しさでしたが、やなせさんは1つ1つの質問に丁寧に答えてくれました。そして、取材を終えると、私に「君、お子さんはいるの」と聞き、「います」と応じると、「ちょっと待ってね」と、スケッチ帳に「アンパンマン」を描き始めたのです。数分で描き終わると、私に手渡してくれました。
記者時代に何百人もの人に取材したけれど、初対面で、直筆の絵をプレゼントされたのは初めてでした。たぶん、私のように、やなせさんから絵をいただいた人は多いのでしょう。誰にも心優しい人でした。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)




