23日から25日まで東京・立川市で上演された「立川立飛歌舞伎」を見てきました。市川團子(21)は、「新説 小栗判官」で小栗と浪七の2役に、馬に乗っての宙乗りまでみせる奮闘ぶりでした。
團子は10月の歌舞伎座の通し狂言「義経千本桜」では、「鳥居前」と「吉野山」「四の切」で狐忠信を演じ、こちらでも躍動的な宙乗りを披露しました。そして、いずれの演目でも父中車をはじめとした「澤潟屋(おもだかや)」一門の笑也、猿弥、笑三郎、青虎、そして歌舞伎界最長老でもある95歳の寿猿らがしっかりと團子を支えていました。
2年前に4代目市川猿之助(49)が事件を起こして、表舞台から姿を消した時、リーダーがいなくなった「澤潟屋」がどうなるか心配しました。でも、杞憂(きゆう)でした。当時はまだ19歳だった團子が4代目の代役を見事に務め、その後も13年前に子役として初舞台を踏んだ「ヤマトタケル」で主演するなど、若きリーダーとして一門をけん引しています。祖父猿翁が團子から3代目猿之助を襲名とした時も24歳の若さでした。襲名直後に後ろ盾となる祖父初代猿翁と父3代目段四郎が相次いで亡くなり、劇界の孤児となったが、孤軍奮闘しながら、早変わりに宙乗りなどケレン味たっぷりの「スーパー歌舞伎」などで、多くの観客の熱い支持を得てきました。
ともに20代前半で大きな危機に直面しながらも、自らの力で危機を乗り越えています。そういうところにも「澤潟屋」の強さ、しぶとさを感じます。團子はまだ21歳で、年を重ねるごとに、さまざまな壁にぶつかることもあるでしょうが、彼なら、壁も易々と乗り越えてくれそうな予感がします。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)




