見ず知らずの男女の共同生活を観察する人気バラエティー番組「テラスハウス」。主演の池松壮亮が完成披露試写会で言った「やばい人たちのテラスハウス」という言葉が、全てを物語っている。

 といっても、家に女子はいないし、海が見えるオシャレハウスでもない。狭いぼろアパートに、むさ苦しい男が3人。壁一面には3人が好きな韓国人の女の子「ソン」の写真や、ソンが捨てたゴミがズラリ。道の向かいにあるソンの部屋をのぞき込み、ソンがカップ麺を食べればまねをするし、トイレに立てば3人で便器を奪い合う。

 男たちはソンを見守るだけで、手出しはしない。ヒモ男との交際も「彼女が好いた男なら」と応援する。風俗で働き出しても、お店には行かない。彼女が死のうとしても、見届けるだけ-。そんなふうに10年が過ぎたたある日、ヒモ男の元に取り立て屋が来たことで、3人の生活は一変する。

 YOU演じる取り立て女が、仲間に放った一言が刺さる。「あんたさ、あんなに愛されたことある?」。やっていることはストーカー行為でも、突き抜けた愛ゆえ。賛否分かれる映画だけに、一見の価値がある。【杉山理紗】

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