やるせない。「号泣してやばい」など動画共有アプリ「TikTok」で話題になった作家汐見夏衛氏の同名小説の映画化。現代の女子高生が戦時中にタイムスリップし、特攻隊員の青年と恋に落ちる。主役の2人をNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」でヒロインを務めた福原遥と、現在放送中のNHK朝ドラ「ブギウギ」でヒロインの“運命の人”となる水上恒司が演じる。

物語は、高校生の百合(福原)が進路をめぐり母親とけんかとなり、家を飛び出し、近所の防空壕(ごう)に逃げ込む。朝、目覚めるとそこは戦時中の1945年6月だった。偶然出会った特攻隊員の彰(水上)に助けられる。

タイムスリップの原因には首をかしげたが、福原の演技が光る。生活様式、時代背景の違いからくる困惑、なによりも先に「事実」を知っているという葛藤を丁寧に表現。「特攻」の日が刻一刻と迫る中、わずかな心の揺れをセリフににじませる。過酷な使命を背負う水上のまなざしはまっすぐだ。穏やかな言葉と表情が相手を包み込む。2人の恋愛模様は、切ない。だけど、朝ドラを見ているような爽やかさがある。【松浦隆司】

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