俳優萩原流行さん(62=本名・萩原光男)が22日午後6時ごろ、東京都杉並区の青梅街道路上で倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された。警視庁杉並署は、バイクで転倒したとみて事故原因を調べている。萩原さんは昨年10月に乗用車を運転中に事故を起こして今年3月に書類送検されたほか、同月にバイク運転中に転倒事故を起こしていた。俳優としては主に悪役を中心に個性派として活躍。08年にうつ病であることを告白していた。

 萩原さんの乗った833ccの大型バイク、ハーレーダビッドソンは杉並区高円寺南の青梅街道を新宿方面の上り車線を走行中に転倒した。警視庁杉並署によると午後6時8分、目撃した男性から「バイクが人身事故を起こしている」と110番通報があった。捜査員が数分後に駆けつけたが既に意識はなかった。同署は免許証などから萩原さんであることを確認した。

 警視庁によると、目撃証言などから、車線変更してきた車を避けようとして転倒し、後方から走ってきた車にひかれた可能性もあるとみて調べている。萩原さんは、片側3車線の直線道路の中央を走行していたが、左車線を走っていたワンボックスカーが右に車線変更してきたため、互いにすれすれの距離まで接近。直後にバイクが進行方向右側に倒れ、萩原さんが投げ出された。上半身が右側車線にはみ出す形であおむけに倒れ、後方から走ってきた車に胸をひかれた可能性があるという。

 萩原さんのバイクの後方で車を運転していた男性によると、萩原さんは時速50キロ前後で走行していたが、白のワンボックスカーのすぐ横に位置した時、車体ごと左右にフラフラ揺れ、直後に倒れたという。バイクは火花を散らしながら路面を滑り、萩原さんはブルゾンに手袋をして、赤いヘルメットをかぶったままバイクの右後方約1メートルの位置で口もとから血を流してあおむけになっていた。

 現場近くの中華料理店員によると、事故直後は萩原さんは手を上げたりするなど体は動いていたという。事故当時、ぱらつく程度の雨が降り始めていたが、視界はそれほど悪くなかったという。付近は事故が多い場所という。

 萩原さんは都内の病院に緊急搬送されたが、午後7時26分、死亡が確認された。警視庁などによると、死因は心房破裂と判明。付近の防犯カメラを使った検証や、萩原さんが薬物の摂取や飲酒状態だったかなど事故原因について詳しく調べている。

 萩原さんはうつ病とも闘っていた。08年に17年間うつ病とつきあっていることを告白。主演舞台で極度のプレッシャーを背負ったことがきっかけだったと話していた。妻まゆ美さんも30代からうつ病で、互いに支え合って生活していたと明かした。09年には著書「Wうつ」を出版し、テレビ番組などで闘病経験を語ることも多かった。

 ◆萩原流行(はぎわら・ながれ)本名・萩原光男。1953年(昭28)4月8日、東京都生まれ。高校卒業後、劇団「ザ・スーパーカムパニイ」に所属し、73年初舞台。81年からつかこうへい事務所に参加し、映画「蒲田行進曲」などに出演。その後、テレビへ活動を広げ、NHK大河ドラマ「炎立つ」や「教師びんびん物語」「スケバン刑事3」など話題ドラマや「修羅がゆく」などの映画に出演。明るいキャラクターでバラエティー番組の出演も多かった。血液型O。

<萩原流行さんが起こした交通事故>

 ▼13年1月17日 東京・杉並区内で乗用車を運転中、都道交差点で自転車に乗った50代女性に接触。女性はひざを打撲した。所属事務所によると萩原さんは「申し訳なかった」と反省していたという。

 ▼14年2月25日 杉並区内で外国車を運転中に交差点内に侵入してきた乗用車と接触。両者の車の一部が破損したが、双方にけがはなかった。警視庁は「物損事故」として処理。

 ▼14年10月25日 杉並区内で乗用車を運転中、50代の男性歩行者に接触し、左腕に2週間のけがを負わせて走り去った疑い。15年3月に自動車運転処罰法違反の疑いで書類送検。所属事務所によると、萩原さんは「現場を通行したが、事故を起こした認識も、逃げたつもりもないので、お答えできない」と話していたという。

 ▼15年3月23日 東京・杉並区西荻北の区道で大型バイクを運転中に転倒し、右腕を打撲。所属事務所が「今後は気を付けて運転をさせます」とコメント。