女優武田梨奈(25)が主演し、3シーズン目を迎えたBSジャパンのグルメドラマ「ワカコ酒3」(金曜午後11時半)の放送が7日スタートした。武田がニッカンスポーツコムの取材に応じたインタビュー第3回は、武田が女優業への思い、今後について語る。

 武田は琉球少林流空手道月心会黒帯の腕前で、09年の初主演映画「ハイキック・ガール!」で披露した鋭い蹴りで、アクション女優として世界各国で評価された。14年にはセゾンカードのCMで頭突きでの瓦割りを披露し国内でもブレイク。一方で07年に映画「こわい童謡」で女優デビュー以降、映画女優として1歩1歩、キャリアを重ねてきた中、「瓦割りの子」という世間のイメージと目指す方向性とのギャップに思い悩んだ時期もあった。

 -連ドラ初主演作「ワカコ酒」で出会った村崎ワカコは、ごく普通の女の子の役どころとしては、初めてと言ってもいい当たり役

 「空手の子」のイメージが強く、街で声をかけられても「CMで頭突きをやっている子だよね」と言われることが多かったのが、今は「お酒の番組をやっている人だよね」と言われることが多くなった。違うイメージを持っていただけるのは本当にうれしい。年を重ねても、やっていきたい。オープニングで「村崎ワカコ26歳。酒呑みの舌を持って生まれたがゆえに今宵も居場所を求めてさすらう女ひとり酒」と語るんですが「40になっても1人酒」「主婦になっても1人で飲む時間は大事」と言うところまでいきたいです。

 3月のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017では、史上最年少で審査員を務めた。同映画祭で上映されたミシェル・ヨー、ファン・ビンビン、チャン・ツィイー、スー・チーら、世界的に活躍するアジアのアクション女優を描いたフランスのドキュメンタリー映画「ドラゴンガールズ」(イブ・モンマユー監督)にも出演している。

 -映画での活躍の場が、さらに広がっている。

 いろいろな映画の世界に携わらせていただいているので、映画人の仲間入りをさせていただけたんだなと最近、実感しています。これからも、いろいろなこと、言葉にも挑戦したい。「ハイキック・ガール!」が代表作だと、ずっと言われてきて、ゆうばりにいらっしゃった、たくさんのアジアの監督からも「ハイキック・ガール!」って言われたんです。海外では、そのイメージが強いんだなと。

 -再び、アクションは?

 全然、やっていないので、そろそろアクションものもやりたいなと、すごく感じています。「辞めたの?」って言われたんですけど全然、そんなことはなく、アクション練習も、ずっとやっているので、いつでも準備万端という感じです。

 -以前はガチッとした体形だったのが、女性らしいスタイルになった

 トレーニングを変えたのも、あるかも知れません。腹筋や背筋は、いつも300~500回やっていて質より量だったんですが、最近は100回を、すごい時間をかけてやるようになったからかも知れませんね。

 -海外の映画のオーディションも受ける?

 ゆうばりで「ドラゴンガールズ」を上映した時、質疑応答で中国の女性映画監督が手を上げて「これから中国でアクション映画を撮ろうと思っています。キャスティングを考えている段階で、ぜひ出ていただきたいんですけど」と公開オファーされたんですよ。まさか過ぎて…今、連絡を取り合っています。インドネシア映画「ザ・レイド」シリーズのギャレス・エバンス監督、タイ映画「マッハ!!!!!!!!」のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督が企画を作ってくださるので、早く実現したい。

 -今後の目標、夢は?

 海外の作品に出る、日本の作品を海外にもっと発信していくという目標に加え、今は自分で映画を作りたいと思います。監督は絶対に無理だと思うんですけど、いつかは企画、プロデュースもしていきたいと思うようになりました。たとえば、SFや今っぽいアクションはたくさんあると思うし、ハリウッドもそうなんですけど、映像で見せるアクションがすごく多い。悪いとかではなく、大好きなんですよ。でも私が出来ることは、自分の生身でやるアクション。志穂美悦子さん、倉田保昭さんをはじめとした空手アクション映画みたいなものって、今の時代、日本には本当にないですし、逆に挑戦したいという気持ちが強いので、企画して作ることができたらいいなと思います。もっと自分に力をつけなければいけないですし、もっとお金(製作費用)もためなければといけない。行動できるようになった時にアクションの師匠、仲間たちを集めて、誰も挑戦したことのない、見たことのない、新ジャンルのアクション映画、世界に挑戦状をたたきつけられるような作品を日本で作って、いつか出したい。

 -海外ではアクション女優として定評がある

 「アベンジャーズ」のジョス・ウィードン監督が来日した時、「日本で1番、興味のあることは?」と聞かれ「日本の『ハイキック・ガール!』という映画です。米国でも見たことのないクレージーな映画だった。僕は、すごく興味がある」と答えてくださいました。日本で「ハイキック-」を知っているのは、本当に映画が好きな人だけだと思うんですけど、米国のメジャーな方でも見てくださっているのが自分の中で大きくて…いつか(国内で)ギャフンと言わせたいです。

 -アクション女優・武田梨奈と、違う顔を作ることが出来たのが「ワカコ酒」

 本当にアクションというイメージしかなかった私を、3シーズンまで持ってきてくださった周りの大人の方たちに感謝です。ここまで続くとは思っていなかった。本当にうれしいです。

 -最後にメッセージを

 「ワカコ酒」が、またパワーアップして戻ってきました。夜の11時半に見たら、きっと飲みたくなると思います。肩の力を抜いて見てもらえたら…楽しみにしてください。

 ◆武田梨奈(たけだ・りな)1991年(平3)6月15日、神奈川県生まれ。10歳の時に、空手大会に出場した父の負ける姿を見て空手を始め全日本チャンピオンになる。第1回ジャパンアクションアワード・ベストアクション男優、女優最優秀賞、第24回日本映画プロフェッショナル大賞新進女優賞など受賞。