歌手ASKA(59)が30日、インターネットテレビ局Abema(アベマ)TVの新番組「逆指名インタビュー」に第1弾のゲストとして出演した。番組の中で、14年5月に覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕され、同法違反と麻薬取締法違反の罪で懲役3年、執行猶予4年の判決を受けるなどした後、引退を考えたこと、親交が深い玉置浩二(59)から「何言ってるんですか、やりますよ」と言われたひと言で立ち直ったと明かした。

 ASKAはボクシングの元3階級制覇王者の亀田興毅氏に続き、インタビュアーにプロインタビュアーの吉田豪氏を指名。初対面の同氏と対談する中で、ASKAは当時、引退の記者会見を開く段取りをしていたと説明。その上で「事件のあった後、歌えないと思って…人前で堂々と歌えないなら、無理だと諦めに入った。その時、連絡して『世話になったな』と言ったら、『何言ってるんですか、やりますよ』と言われたひと言で、歌えるようになった。心の中を占領していた何かをはがされた」と玉置の言葉で歌うことが出来るようになったと明かした。

 また「やったことは絶対に悪いんだよ。でも、そうじゃない接し方をしてくれる人が増えてきた。そこに対しては、ちゃんと応えたい」、「自分のことがきっかけか分からないけれど(一般の視聴者が)報道の外を見るようになった」などと、インターネット社会になったことで、テレビの報道番組やワイドショーを超えたところで、自身に興味を持ち、理解してくれる人が増えたと断言した。

 さらに「今までのプロモーションじゃ、どれだけ金を使っても届かなかった世代が、事件によって聴いてくれる」などと、若い世代にも楽曲に関心を持ってもらえたとした。その上で「失うものは1つだけあって…それは新鮮さ。デビューした人が持っているだけ。あの事件で、2度目の新鮮さを持つことが出来た。そうそう、体験できるシンガーはいない。その世代(若い世代)に歌を歌っていきたいんですよ」、「こうべを垂れる人生じゃダメ。区切りが出来て前に向かって行けた」などと前向きに語った。

 ASKAは、24日に立ち上げを発表した音楽配信会社「Weare(ウィアー)」についても熱く語った。まず、ますます配信が盛んになり、CDなどのパッケージが売れない現状について「(楽曲が)聴き放題にされていくことへの懸念がある。聴き放題にされるのは無理。音楽で食べられない人がいることに、危機感を覚えないといけない。世間の人を喜ばせるためにただで聴かせる…それじゃあ、ミュージシャンは出てこないでしょう」と憂えた。その上で「配信(で得た利益)の70%をミュージシャンに還元し、サイトは利益を上げない。お金をプールする会社じゃなく、アーティストが集まるごとに大きくなるだけの話。やっと発表できるところまできた」と「Weare」の意義を訴えた。

 吉田氏から、一連の事件が新たな動きが出来たきっかけだったのでは? と聞かれると、ASKAは「自分が縛られるものがないから出来ていること。それについては考えることがある。事件がきっかけになったね。1人でやらなければいけなくなったから、以前、考えたことに向かって動きだした」と断言した。