大みそかの第68回NHK紅白歌合戦(午後7時15分開始)の出場者発表会見が16日、都内の同局で行われた。目玉候補と呼ばれた、来年9月での引退を表明している安室奈美恵(40)や、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」主題歌「若い広場」を歌った桑田佳祐(61)の名前はなかったが、同局側は引き続き交渉していく意向を明かした。エレファントカシマシ、Hey!Say!JUMPら初出場メンバーは喜びを語り、総合司会は内村光良(53)とともに同局桑子真帆アナウンサー(30)が務める。

<解説>

 出場者の名前を見て、中高年の視聴者が今年はこの歌手をと、注目したくなる歌手がいるだろうかと思った。初出場歌手については、フレッシュな印象もある半面、会場にいた数人の中年男性からは「曲どころか、歌手名も知らなかった」との声が聞こえた。

 会見に参加した初出場歌手9組のうち数組が、楽曲がテレビCMに使用された影響で紅白出場につながったと話していた。半数近くの歌手はCMで話題になっている。歌番組が少ない時代、視聴者が歌手の歌唱姿に触れる機会は少ない。

 一方で、CMに使用される曲を聴き、曲は聴いたことはあるが、歌手の名前や顔は知らないケースもあるだろう。これからの時代、歌手が紅白出場を狙うにはCMが追い風になるのかもしれない。中高年にとっては日頃、CMの曲にちょっと耳を傾けることが紅白を楽しむコツかもしれない。

 NHKは出場者の選考にあたり、今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出の3点を中心に、さまざまな調査結果をもとに総合的に判断したと説明した。ヒット曲の少ない時代、幅広い世代の支持を得ると同時に、新しい風を吹き込むための出場者選びは年々、難しくなっていくだろう。【中野由喜】