女優二階堂ふみ(23)が18日、都内で映画「リバーズ・エッジ」(行定勲監督)の公開記念舞台あいさつに出席した。

 サプライズで、主題歌を歌うシンガー・ソングライター小沢健二(49)からのメッセージが寄せられた。「ふみさんが『リバーズ・エッジ』の映画化にかけた熱量は、小宇宙を創れるくらいのものです」とし、原作者の漫画家岡崎京子さん宅に二階堂と訪れたことなどを振り返っていた。

 二階堂は「感無量です。うれしいです」と喜び、観客からの拍手に「今日はよく眠れそうです」。

 同作は開催中のベルリン映画祭で上映され、二階堂、行定監督、吉沢亮(21)の3人が参加した。

 この日は森川葵、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨も出席した。

 ▼小沢健二のメッセージ

 もうずっと前の冬の夜、岡崎京子さんの家に行くために東京の路上で二階堂ふみさんを待っていると、真っ暗な中に、ふみさんが1人で現れました。療養中の京子さんに負担をかけないために、1人でいらしたのだと思います。ふみさんと僕は暗い坂を登って、京子さんの家に入りました。

 ふみさんが「リバーズ・エッジ」の映画化にかけた熱量は、小宇宙をつくれるくらいのものです。それをふみさんは静かにたたえて、京子さんに話をしていました。そこから流れ出した水がこうやって、映画となって皆さんに届きました。

 ラッシュ(編集段階の映像)を見た時は、ふみさんの顔が京子さんそっくりに見える場面があり、驚きました。あれは何なのだろうと今も思っています。吉沢亮くんのあの横顔から、川を鳥が飛んでいくシーンは、記憶して、再生して、何度も考えて、音にしていきました。僕にとってのヒントは、ふみさんの肩でした。

 そうやってできた主題歌「アルペジオ」に声を入れるスタジオでは、ふみさんは言葉の感情を音楽にして、逆に亮くんはすっきりとリズムにりりしく、録音していました。

 僕は「アルペジオ」については、「若い人にどう聞こえるか」とか「若い人がどうのこうの」は一切考えませんでした。そういうのは、漫画を描いていた頃の京子さんや、その頃のぼくは嫌いだったし、今も嫌いです。当然。笑

 世田谷の小さな空間から流れ出した水が、大きな川になって、流れています。

 本当に大きなものって、実は結構個人的で、小さくて、かっこ悪くて、理屈が合わなくて、それでも自然に体が動いてできるのではないかと思います。自然に体が動く方向へ、思い切って飛んで、頑張って。

 本当に良かったです、「リバーズ・エッジ」。