尾上菊之助(40)が19日、都内で「松竹大歌舞伎」(6月30日から東京・江戸川区総合文化センターほか全国巡業)の制作発表に出席した。

 全国25館42公演を行う予定。菊之助は「曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)」「高坏(たかつき)」に出演する。

 「高坏」は、菊之助の曽祖父6代目尾上菊五郎が、タップダンスを取り入れて作った演目。初めて挑む菊之助は「タップを取り入れるというのは、自分の祖先でありながらすごい。お酒を飲んで浮かれながら踏むのは難しさもあり、面白さもある。ほろよい加減でタップを踏めるまでお稽古をしたい」。

 2演目とも音羽屋にゆかりの深いもの。菊之助は「音羽屋の芸を貪欲に継承していきたい気持ちが強いです。1つ1つの役になりきって務めたい」と意欲的に語った。

 巡業先での楽しみについては「まずは札幌でジンギスカンとビール」とうれしそうに話した。

 巡業の思い出について、3年前に亡くなった坂東三津五郎さんと出演予定だった公演について語った。13年11月の公演は、三津五郎さんが膵臓(すいぞう)がんの療養で休演した時で、菊之助は「三津五郎のお兄さんと『江島生島』を踊る予定だった。初日に来ていただいて『いつか一緒にやろうね。ごめんね』と。その時に時計を買ってきてくださった。今でも大切にとってあります」と語った。

 「松竹大歌舞伎」は他に「近江のお兼」。