昨年5月27日に脳梗塞で倒れ、リハビリを続けて高座復帰した桂ざこば(70)が、師匠の故桂米朝さん(享年89)の3回目の命日にあたる19日、自身が開いた大阪市西成区の動楽亭で、近況を報告し、爆笑を奪う快感をやっと取り戻したことを明かした。

 「ウケる快感いうんが、ここ何カ月かで、やっと分かってきた。それまではウケてんのか、感じへんもん。この頃、やっとやな」

 絵を見て、発音しにくい言葉をしゃべるなどするリハビリを経て、倒れてから約2カ月後の昨年7月29日に舞台復帰。その後、最初に「上燗屋(じょうかんや)」を覚え、続いてこの日演じた「笠碁(かさご)」を覚えるなどし、昨年11月からネタを演じる「高座復帰」も果たしていた。

 ただし、はなし家としての感触は万全ではなく「もう、どうしても(ミスをすると)ここ(胸部分)が苦しいねん。しんどいねん」。自身へのいら立ちを抱えながらも、3本目の復帰ネタへ取り組むうち、ウケることへの気もち良さも思い出したという。

 「しゃべりながら、あれ? 次のセリフ、難しい(言いにくい)なとか。考えて、かんでまうねんな。でも、落語しかないから。俺には。まあ、でも、任しといて。2つ(覚え直し)できたら、3つもいける。ほなら5つ、とお(10)はいけるやろ」

 禁煙は継続。大好きなお酒は「1日3合まで」と決め、日々たしなみつつ、リハビリも継続。主治医からは「日常生活はもちろん、話す職業ではなく普通の仕事なら十分復帰できるレベルです」と言われた。

 ざこばは自身へのもどかしさも感じつつ、変化も実感。「おれ、病気する前としてからと人間変わった思うねん。落ち着いたというか」とポツリ。弟子は「病気の後、確かに丸くなりました。甘いもんも食べへんかったのに、アイスクリームとか食べるようになりましたね」と、その変貌ぶりを明らかにした。

 今後は、MBSテレビ「ちちんぷいぷい」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」など、レギュラー番組への本格復帰や、ラジオ番組への取り組みなども進められている。

 ざこばはこの日、命日だった米朝さんを思い「ちゃーちゃん(米朝さん)は、先生(主治医)に『落語しゃべるのも大変ですな。もうちょい、何とかなりませんか』言うてる思いますわ」と話していた。