カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した「万引き家族」(8日公開)の是枝裕和監督(56)が6日、都内の日本外国特派員協会で会見を行った。

 一部から作品のテーマについて批判を受けていることについて、「僕と僕の映画が物議を醸している状況ですけど」と笑いながら切り出すと、「映画館で見られるという通常の枠を超えて多くの人に届いているんだと、個人的には前向きに捉えています」と話した。

 この件については、海外の記者から「政府の協力を得て作っていながら、安倍首相からおめでとうの電話がない」などの指摘もあがった。是枝監督はさらに「いろんな海外映画祭で『日本映画にはなぜ社会と政治がないのか』と言われた。あえて言いますけど、日本の大きな配給会社がしてこなかったからです。日本の映画の幅を狭くしている」と、強めの口調で持論を展開した。

 新作について話が及ぶと「まだ正式発表をする前なのにいろんなところから情報が漏れているみたいで」と困り顔。「秋に、主にフランスの役者さんたちと映画を撮ろうとなっていて、6月の終わりくらいにパリに渡る予定です。発表していないのにキャストやギャラまで(一部報道に)載っていて、よく分からない状況になっています」と笑っていた。

 また「カンヌのコンペ作品の中でどれにパルムドールをあげたい?」との質問には、「上映後とても評判がよく連日取材が入ったので、コンペの他の作品を見られていないんです。見た中では『万引き家族』がいちばんよかったです」とおちゃめに答えて笑いを誘った。