カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した映画「万引き家族」(是枝裕和監督)が8日、公開初日を迎えた。一夜明けた9日、犯罪でつながる家族を演じたリリー・フランキー(54)安藤サクラ(32)松岡茉優(23)樹木希林(75)、子役の城桧吏(じょう・かいり=11)佐々木みゆ(6)、共演の池松壮亮(27)が、都内で舞台あいさつを行った。

 快挙から3週間、当初の公開予定館数を大きく上回る全国329館で封切られた。先週末の先行公開では2日間で興収1・9億円を達成。「そして父になる」(13年)で記録した、是枝監督作品の歴代最高興収32億円を上回る見込みという。

 是枝監督は、公開の感想を聞かれると「もう少し小さく産み、小さな声で届ける作品を作ろうと動きだしたけれど、こんなに広く届けられたのは、スタッフとキャストがいい形で作品を支えてくれたからです」と、周囲への感謝を述べた。

 主演リリーも「是枝さんがやりたいものを手作りでやっていたけれど、賞をいただいたおかげで、たくさんの人に見ていただけるようになった」とうれしそう。安藤は「この家族と過ごした時間は短くて穏やかなのに、ところどころ、とんでもない興奮と爆発が起こる。ここにいる皆さんはものすごい方なのに、キャビアを食べている感じなのに、納豆ご飯みたいなんです」と、独特の表現で共演者をたたえた。【杉山理紗】