全身に転移したがんのため9月15日に亡くなった女優樹木希林さん(本名・内田啓子、享年75)の葬儀が同30日、東京都港区の光林寺で営まれ、関係者約500人、一般ファン約1000人が参列した。喪主は夫でミュージシャン内田裕也(78)が務め、長女内田也哉子(42)が喪主に代わってあいさつした。夫婦のきずなを、也哉子や夫で俳優本木雅弘(52)をはじめ、親交のあった人々が語った。

本木が希林さんから余命宣告を打ち明けられたのは今春だった。「ある意味、はっきりしたから、準備を進められるわね」と話す希林さんを、すがすがしく感じたという。希林さんは「私の好きな光林寺で葬儀をあげられるか、確かめましょう」と、本木を伴い、内田家の墓がある寺を下見に訪れた。

希林さんは思い出作りを考えていた本木ら家族に対し「私を理由にスケジュールを変えないで」「普通でいて」と、何度も念押ししたという。取材に応じた本木は「婿として、大事にしていただきました。誰に対しても常に何かをもたらしてくれる人。人に寄り添っていくのが好きでした」と希林さんに感謝した。

喪主代理あいさつを務めた也哉子は両親の長年にわたる別居婚に触れた。「奇妙な家族でした。不在の父の存在に押しつぶされそうになりました」。

母の死後、内田がロンドンから希林さんに送った手紙を見つけたという。「俺の夢とギャンブルで高価な代償を払わせていることは、よく自覚しています」と身勝手な行動をわび、最後に「この野郎、てめぇ…でも、本当に心から愛しています」とつづられていた。

也哉子は「勝手だけれど、父から母への感謝と親密な思いの詰まった手紙に、私はしばし絶句してしまいました。長年、心のどこかで許せなかった、父と母の在り方へのわだかまりが、スーッと解けていったと感じたのです」と涙ぐんだ。「私が唯一、親孝行できたとすれば、本木さんと結婚したことかもしれません。この絶妙なバランスが欠けてしまった今、新たに内田家の均衡を模索する時が来てしまいました」と、喪失感をにじませた。【近藤由美子】