山口百恵、ピンクレディーらへの楽曲提供で知られる作曲家都倉俊一氏(70)が、26日、文化功労者を受賞し、このほど喜びの会見を行った。

高度経済成長とともに開花した日本の大衆カルチャーを引っ張り、世界に文化発信を行うための環境作りに貢献したとして、顕彰された。

都倉氏はスタッフから花束を受け取ると「栄誉をいただいた。長い間、僕の音楽や歌を愛してくださった全国の皆さんの支えがあったからだと思います。まだ現役のうちに栄誉をいただけるのは、背中を押していただくということ。昭和、平成を思いきり駆け抜けてきたけれど、今年で、平成も最後。昭和を含めたレガシーを伝えていくのが役目と思ってやっていきます」と話した。

作詞家阿久悠さんとのコンビで、ピンク・レディーの「ペッパー警部」など、数多くの名曲を生み出してきた。阿久さんについて「阿久悠さんという盟友を得て仕事をしてきて、いい兄貴分というかかわいがってもらいましたし、作詞家、作曲家として畏敬の念を持っていた。『ペッパー警部』のペッパーって何? 何で警部? と思っても、ヒットした後に『何でなんだろうね』というくらいツーカーだった」。

また、山口百恵については「これだけレジェンドになったのは、彼女の持っていた神秘性、人をひきつける引力が彼女を作ったと思う。僕たちが作ったというより、彼女の持ってる世界に僕らが入っていった方が良いと思った」と振り返った。

日本音楽著作権協会(JASRAC)の会長を2010年から約6年間務めるなど、創作に携わる人たちの権利も守ってきた。昨今の音楽を取り巻く環境について「全てがボーダーレスになっていて、SNS、情報の発達が複雑になって、スピード感もすごい。音楽のクリエーターの権利が侵されることと表裏一体になっていて、危機感はある。若い人たちが出てくる土壌を整備することが大切」と話す。

「アーティストの真剣さ、現実的な技術も変わってきている。どの時代も歌がうまい天才はいるが、生の歌を届ける時代が来ている。私の1つの夢として、日本のライブエンターテインメントを世界に届けたいアーティストの真価が問われるのはライブ。その土壌を日本でも作っていきたい」と今後の意欲も語った。